永久歯先天欠如
先月、初診でいらしたお子さん、「前歯が片方しか出て来ません。心配なので見て下さい」とのことでした。
確かに上アゴの前歯が片側しか出ていませんでした。アゴ全体の永久歯の状態を見るためのレントゲンを撮ったら、前歯だけでなく、奥歯も含めて沢山の永久歯が先天欠如していました。
このようなケースはまれですが、1本から数本の先天欠如はかなり見られます。
日本小児歯科学会で2007年から2008年に12の都道府県で15,544人の7歳以上のお子さんを調査した所、10%程度みられたという報告をしています。
小児歯科学会のホームページ→http://www.jspd.or.jp/contents/news/news20110315.html
プレリリースの記事→http://www.jspd.or.jp/contents/common/pdf/main/senten.pdf
前にもブログで書かせてもらいましたが、以前のいくつかの報告では2〜4%と言われていました。
今回の学会の調査はそれより倍以上多い訳です。
6月に学校歯科医をしている新潟市秋葉区の新津第3小学校の春の歯科検診をしてきました。
その時は6年生3クラスを健診しましたが、この年齢で先天欠如がほぼ確定出来るのは、前歯上下8本です。
その約100名ほどの中に、やはり3名ほど下アゴの前歯が先天欠如と思われる児童がいました。
その他にも奥歯の先天欠如もあるだろうし、いろいろ組み合わせて考えると結構な確率で、先天欠如のお子さんがいると考えられます。
永久歯が無いとその部分の乳歯をより大事にして、生え変わらない歯としてむし歯予防をしないといけません。
もし、むし歯になったとしても、健康保険では、永久歯と乳歯では銀歯になってしまうような大きなむし歯では、永久歯と同じ材料で乳歯の歯を治すことができます。
うめつ歯科医院では、6歳か7歳になったら永久歯の先天欠如が無いか確認する事を患者さんにお勧めしています。
また、兄弟や両親等に永久歯の先天欠如が有るときも、やはり心配です。
お子さんの歯科の定期検査では、むし歯や歯肉炎の検査、歯磨き指導、希望者へのフッ素塗布など沢山の注意点を見てゆきます。
その中で、歯の生え変わり、永久歯の異常が無いか、お口の悪習癖が無いか等沢山の事を見てゆきます。
それらを総合的に検討して、健全な歯並びやアゴ、お顔の発達のお手伝いをする訳です。