禁煙① 禁煙のストレス
さて、先日参加したつくば市で行なわれた第55回歯周病学会の内容で、一般の方にも興味を持っていただける内容の紹介です。
今回の学会で特に役立ったのは、「喫煙者のリスクマネージメント」高橋裕子先生の講演。
歯周病は現在、世界中で一番広がっている病気です。この歯周病を悪くする大きな原因が喫煙。
一般的には喫煙者は、タバコを吸わない人より4倍ほど歯周病が悪化してゆきます。
歯周病を悪くする全身的なリスクとしては、糖尿病や遺伝、薬剤(特に一部の血圧の薬)等がありますが、最大のリスクはこの喫煙です。
うめつ歯科医院のホームページ「歯周病をさらに悪化させるリスク」→https://www.umetsudental.com/wp1/歯周病をさらに悪くするリスク
今回は癌や心臓病、脳梗塞や脳溢血などに対する喫煙の悪影響は述べません。
もう喫煙者は耳にタコができるほど聞いて知っているはずです。
さて、その耳にタコができるほど周りから禁煙について言われている喫煙者。
うめつ歯科医院に来院する患者さんにも、喫煙が原因で悪化した歯周病を抱えている人が沢山います。
やはり耳にタコが出来ていても、私たちはタバコと歯周病の関連性をお話しなければいけません。
「とりあえずお話しますが、無理強いはもちろんしません。もし禁煙しようと思ったらいつでも気軽に声掛けして下さい。」とお話しして、
「色々アドバイスできますよ」と付け加えます。
こうする事で長いおつきあいの中で禁煙していただいた患者さんも沢山います。
しかし、上手く行かない患者さんもいます。
そういう患者さんの中で良くあるお話のひとつが高橋先生の講演の中でも出て来ました。
患者さんに禁煙を勧めると、とたんに嫌な顔をされ「禁煙するストレスの方が悪い」と言われてしまいます。
こんなお話でした。
当院の歯科衛生士も同じ様な体験をしています。
病気とストレスは色々と関連づけられています。
確かにストレスは色々な病気を起こしたり、悪化させます。
それでは、禁煙するとタバコが吸いたいとストレスは溜まるか。
実は溜まります。しかし、喫煙者は禁煙しなくともストレスを多く常に感じています。
2008年のアメリカのビューリサーチの調査より、喫煙者は非喫煙者や元喫煙者より常に感じている結果が出ています。
すなわちニコチン切れはタバコを吸わないとすぐ感じてしまうので、その間常にタバコが吸いたいとストレスを感じているそうです。
これが何十年も続くのですから、すごいストレスですね。それらは禁煙に挑戦している間のストレス以上でしょう。
また、医師や歯科医師の中で禁煙に対して否定的やあまり勧めない人は、自分も喫煙者の可能性が高いそうです。